超微粒子ウォーターミスト

超微粒子ウォーターミスト SPG-M1-B/SPG-M1-U

〜セミドライ切削加工を強力サポート〜

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<仕様>

  • エアー圧:0.5〜0.8MPa
  • エアー使用量:130〜160リットル/分
  • 水噴霧量:0.1〜50cc/分
  • ノズル本体寸法:23φ×180L
  • ノズル本体重量:約100g

■作動原理

プラスチック製の柔らかいチューブからエアーや水を勢い良く噴射すると、チューブの先端は暴れます(水道に長いホースを付けて勢いよく水を出したときと同じ)。この暴れる力をコントロールしてチューブをスムーズに回転させたり、回転半径を調整したりする事によりパルスを発生させています。水をミスト状に発生させるには、エアーと水を同じ圧力でチューブに送り込み、回転がスムーズに成るように圧力を調整してやれば良いのですが、それには小型で高圧力の水ポンプと圧力調整器が必要となるので、安価で故障の少ない物と考えついたのが噴霧の原理になります。同軸((注)エアーチューブの中に水用の細いチューブが入っている)上にチューブを配置する事で理論を成り立てています。

■切削加工の技術≒動向を見る

近年、環境問題への関心は高まり、その中でも切削加工としてドライ・セミドライ加工が注目を集めています。高品質の加工が望まれる分野においてドライ加工では未だ問題が多いのが現実で、セミドライ加工でも油剤供給量等、各種の条件設定がネックとなり導入が進んでいないのが現状です。優れた切削工具の開発により、ドライ加工や冷風加工が導入され始め、常温や低温の空気、ドライアイスミストや低温窒素系ガス等を供給することにより加工点の冷却や切り屑除去を行っていますが、切削油を全く使用しないことから、潤滑効果の低下による表面性状や切削熱の発生により、寸法精度の低下や工具寿命を短くするなどの問題があります。そこで必要最初量の水をコンプレッサーエアーによりパルスミストとして発生させ、種々な切削加工時に使用することで、湿式加工(高圧クーラント方式)方式に替わる切削加工を可能にします。(注)セミドライウォーターミスト方式は、プラスチックやゴムなど熱変形に弱い物質にも最適です。

■水が油滑剤に成りうるのか

潤滑剤というとどういったもの思い描きますでしょうか。自動車や船のエンジンオイル、工作機械のギアオイル、自転車やオートバイのチェーングリース。家庭ではミシン油やCRCスプレーオイル等の他、OA/AV機器など目に触れていなくても回転したりこすれ合ったりする場所には潤滑剤が必ず使用されています。昔から人類にとって最も身近な潤滑剤と言えば“水”です。例えばスキー・スケートの滑走を助けているのは、接触界面で圧力と摩擦によって生成した溶解水といわれていますし、雨の日に車のタイヤが高速走行時空転する“ハイドロプレーニング現象”も、水の膜がタイヤと地面との摩擦係数を極端に低下させた例です。一般に切削加工時、潤滑剤を用いる目的は、変形熱(加工熱)と摩擦熱の除去(冷却)です。この熱の除去を行わないと工具と材料の温度が上昇し両者が融着し焼き付きが生じてしまいます。したがって発熱の影響が大きい条件では冷却性と潤滑性の両方を考慮する必要があります。水は空気や油に比べると冷却剤として非常に優れた特性を持ち、且つ無害です。

■一般的スプレーノズルとどこが違うのか

水は液体の中で比熱(注)が一番大きいのですがアルコールのように触っても冷たく感じないのは何故でしょうか?ヒントは時間にあります。すなわち、同じ量を蒸発するのに、水はアルコールの数倍時間がかかってしまうということです。蒸発する時間が早ければ、それだけ多くの熱を奪うことができる比熱(注)の大きい水を短時間で蒸発させれば多くの熱を奪えるわけで、それには水をより微粒子化して噴霧してやれば良いことになります。一般的なスプレーノズルでは切削加工時に発生する大量の熱と切削片を母材と刃物両方から排除するのは困難です。何故、弊社のウォーターミストノズルでは可能なのかと言うと、水の微粒子に自転及び螺旋の運動エネルギーを合わせ持たせているからです。この運動エネルギーの発生のメカニズムについては、作動原理で説明したエアーの噴射エネルギーの反力によるチューブの回転が発生の源になります。ウォーターミストノズルのもうひとつの特徴として洗浄効果が上げられます。チューブの高速回転時に発生するパルス波が、切削加工面に角度を持って衝突し剪断力を発生させるため、加工面に付着した油や、その他の汚れを洗浄出来るのです。

(注)比熱:物質の温度を上げるために必要な熱量

■ウォーターミストノズルの特徴

  1. ウォーターミストノズル 内部のフレキシブルチューブは、約60Hzの周波数を有する自励的な旋回をしています。
  2. フレキシブルチューブの自励的な旋回により形成される変動圧力波形は、加工面に対してスパイク波で繰り返し加圧しています。このことは、旋回流による“引っ掻き痕”となり、吸熱及び洗浄効果を高めています。
  3. 旋回運動により、加工面に当たるウォーターミストの面積を固定ノズルの数十倍に広げています。
*参照資料
高速回転フレキシブルノズルによる洗浄に関する報告(発表資料)
東京都立科学技術大学・首都大学東京大学院工学研究所による共同研究
2006/3/29 Matsudaira Lab.

■ウォーターミストはここまで出来る

  • 二酸化チタン(光触媒)のコーティング
  • 消臭・防カビ・殺菌・除菌剤の塗布
  • 自動車のシートやマット、アルミホイールなどの洗浄
  • 機械加工部品、電機・電子部品の洗浄
  • 室内や紙、織物などの加湿
  • 冷却(ガソリンスタンド・高湿作業場)
  • スポットクリーニング(マイナスイオンによるリラクゼーション)
  • 静電気除去(室内及び各種ワーク)
  • 各種機能水(注)による洗浄・消臭・防カビ・除菌・殺菌

(注)機能水:アルカリイオン水・オゾン水・水素水等

■今後の取り組み

切削油剤や工具材料の目覚ましい発達の今日、切削油剤を使用しない環境対応型加工技術として、ウォーターミストは高精度・高品質、及びニーズの多様化に対応した加工としては不十分な点もあります。
実用化に向けて、当社の更なる取り組みとしてダブルミストのデジタルコントロール化があります。ダブルミストとは、核になるウォーターミスト(1〜10μm)の回りに0.1μm以下のオイルの膜(シャボン玉の中に水が入った様な状態)を作り、切削加工面に噴霧することで、高圧クーラント加工と同等以上の切削加工を目指しています。

有限会社ガリュー 代表取締役 長谷川 可賀

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